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街門の高さは数メートルあり、そこから街全体を囲う様に石壁が展開されている。
ケモノの侵入に対する対策だろう。
真っ白な外壁は、何処か重々しさを感じさせた。
それに躊躇いを見せると、アネスは鼻で笑いながら言う。
「田舎者だからな。てめぇは」
……そういう問題なの?
田舎者には違い無いが、どちらかと言えば……空気。
街から漂う空気が重々しいのだ。
……何か有りそうだな。
先程アネスが言った事、それにこの雰囲気。
当初に思い描いた華やかな街並みは、いつの間にか僕の頭から消えていた。
「さっ。行くぞ」
「あ、うん」
何度目か分からないやり取りをし、僕達は街へと近づいて行く。
街門を間近に控えると、門番らしき厳つい男性が二人現れた。
僕達を舐める様に上から下へ眺めると、素性を尋ねてくる。
「見ない顔だな? 何処から来た?」
「エメルドから来ました」
「ほう……辺鄙な場所から来たな。観光か?」
「ええ。そうです」
「――通っていいぞ」
身分証の提示も求められず、おざなりなチェックで僕達を通した門番達。
こんなチェックで治安は守れるのだろうか?
ともあれ、面倒な事にならずに済むなら、それでもか構わないのだけど。
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