男の旅路に危険はつきもの

64/65
前へ
/133ページ
次へ
――SIDE ライル―― 「うわあああああっ!?」 ――何で大剣が真横に……  正面に目をやると、くたびれた様子でアネスが項垂れている。 もしや、また僕をケモノが襲おうとして、それをアネスが打倒したのだろうか? ――この臭いは……  血生臭さに気付き、その元である湖へ目をやる。 真紅に染まった丸い湖はまるで…… 「……アダム」  異臭を払う強い風に乗せ、僕は小さく呟いた。 それに一瞬だが、アネスの片眉が反応する。 「ん? どうかした?」 「いや……何でもねぇ」  言葉を濁しながらその場で重たい腰を持ち上げたアネスは、大剣に纏わりついた血を雑に拭き取り、再び背中へ仕舞った。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1214人が本棚に入れています
本棚に追加