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――SIDE ライル――
「うわあああああっ!?」
――何で大剣が真横に……
正面に目をやると、くたびれた様子でアネスが項垂れている。
もしや、また僕をケモノが襲おうとして、それをアネスが打倒したのだろうか?
――この臭いは……
血生臭さに気付き、その元である湖へ目をやる。
真紅に染まった丸い湖はまるで……
「……アダム」
異臭を払う強い風に乗せ、僕は小さく呟いた。
それに一瞬だが、アネスの片眉が反応する。
「ん? どうかした?」
「いや……何でもねぇ」
言葉を濁しながらその場で重たい腰を持ち上げたアネスは、大剣に纏わりついた血を雑に拭き取り、再び背中へ仕舞った。
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