男の旅路に危険はつきもの

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 程なくして組みあがった理術式。 構成に抜かりは無い。  後は―― 「――理術、”鳳扇昇華”(ほうせんしょうか)」  ――解き放つだけだ。  僕の解き放った理力は赤く輝く巨大な鳥を模し、三本の尾を靡かせながら上空へ舞う。 それは異常な加速により閃光へ変わり、真正面からケモノの理力へ向かっていく。 『キェー……』  空気を切り裂いているのか、まるで鳴いているかの様に甲高い音をあげる。 「ガァッ……」  僕の体は悲鳴を上げ始め、思わず大地に膝をついた。 アネスはそんな僕を支えながら、上空を舞う巨大な真紅の鳥を目で追う。
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