男の旅路に危険はつきもの

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 だが、そんな事はどうでもいい。 こいつは……言ってはならない事を言った。 「良く分かった。てめぇは――」  ”苦しんで死ね”  聞こえるか聞こえないか程度の声量でそれを呟いた直後、アタシの体の奥底から何かが吹き荒れる。 『なっ……なんだ……!?』  青トカゲの怯えた表情。 それを見るのが実に楽しい。  呟くと同時に閉じていた瞼を、アタシはゆっくりと開いていく。 『蒼……と、紅……い瞳……何だそれは……』  無意識に口角が釣り上がる。 直感で感じ取れていた。  今のアタシには、青トカゲなんて敵ではない――と。
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