男の旅路に危険はつきもの

59/65
前へ
/133ページ
次へ
 軽く地面を蹴る。 ただそれだけで、青トカゲの姿が間近へ迫った。 『なっ!?』 ――もう喋るな。 「てめぇはこれから……悲鳴だけあげてろ」 『――っ!? ギャァァァッ!?』  体へ纏わりつく蒼と紅の入り混じった力は、大剣へと絡み付き、あれ程硬かった鱗をあっさりと切り裂く。  首の付け根から袈裟気味に切り上げた刃は、青トカゲの薄汚い血液を周囲に撒き散らした。 「ヒヒッ……ヒヒヒヒッ……」  笑いが止まらない。 何だこいつは?  まるっきりザコじゃないか。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1214人が本棚に入れています
本棚に追加