男の旅路に危険はつきもの

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 水弾が幾つか飛んでくる――が、頬を打つ小雨程度にしか感じない。 それら全てを無視し、背中に飛び乗ったアタシは、大剣を翻し何度も何度も切りつける。 「オラッ……鳴けよ」 『ギァッ……!』  精一杯足掻く青トカゲの抵抗を適当に流しながら、アタシの刃は止まる事無く命を削っていく。  そして―― 「……もう終わりか?」 『…………』  青トカゲは全身に裂傷を負い、最早口もきけない程に衰弱しきっていた。 「そろそろ終わりにすっか。じゃあな――」  大剣を水平に振りぬき、青トカゲの胴体と首を二つに分ける。 「――ゴミ野郎」  巨大な頭部が湖へ落下し、噴き上がる鮮血が色を赤く染めていく。 全身に返り血を浴びながら陸に降りたアタシは、誘われる様に覚束無い足取りでライルの許へ。
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