1214人が本棚に入れています
本棚に追加
俯かせていた顔をゆっくり上げると、長老の隣に小柄な少女がいる。
見覚えの無い容姿から、恐らく冒険者だろうと予想した。
……小さいのに凄いなぁ。
座高が長老より一回り低い。
「おいてめぇ。”アタシ”に文句でもあんのか?」
「いえ――」
知らぬ間に怪訝そうな顔をしていたのだろう。
気分を害してしまったようだ。
「嘘つけ! 目線が――」
「まあまあ。落ち着いて下さい――”アネス”さん」
……アネス? 知らないな。
首を傾げながらも、彼女の背後に置かれた一振りの大剣に目が行く。
明らかに体格と不釣り合いな大きさ。
鞘に錆がきており、手入れは今一つ出来ていない様子。
「おい! 聞いてんのか!?」
「はいっ!?」
「チッ――」
舌打ちをされる。
何て怖い女の子だろう。
最初のコメントを投稿しよう!