男の旅路に危険はつきもの

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 張ったテントは一人用で、中に入った段階で僕は気づいた。 ……アネス何処で寝るの?  まさか同じテントで寝るつもりだろうか? さすがにそれは頂けない。 「いやいや……」  自問自答していると、入り口からアネスが覗き込んだ。 「何ブツブツ言ってんだ?」 「い、いや……その……」 「――ったく。さっさと寝ろ。見張りはアタシがしといてやる」  そう言って顔を引っ込めたアネス。 どうやら外で野営地点の見張りをするらしく、僕が考えていた内容は杞憂に終わりそうだ。 ……先に言って欲しいよ。  ため息を吐き、持参した毛布にくるまって横になる。 新品の毛布は肌触りが良く、それに身を委ねていると次第に瞼が重くなってきた。 「おやすみ……」  言った所で返事は無いが、誰にでも無く呟いた僕は、夢の中へ落ちて行った。 意識が飛びかけた最中、外から小さく聞こえた返事。 『おやすみ。ライル――』  その声を最後とし、僕は完全に夢の世界へ旅立った。
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