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――翌朝。
いち早く目覚めた僕は、外で見張りをするアネスの様子が気になり、いそいそとテントから顔を出す。
丸太に腰掛け、大剣抱えて眠るアネスは、年相応の女の子に見えた。
フッと小さく笑った僕は、消えかけた焚火に薪をくべ、アネスに毛布を掛ける。
「んー……!」
初めての外泊だったが、枕が変わると眠れない――なんてことは無く、確りと体を休められた様だ。
アネスが外で見張ってくれているという安心感。
それもあったかもしれない。
……朝食でも作ろうかな。
持参していた水と調味料、それを鍋に入れ干し肉と干し野菜を煮込む。
作っているのは簡単なスープだ。
アネスが満足するかは別として、単に僕が温かいスープが飲みたかっただけなのだが。
数分程煮込むと、次第に良い匂いが鼻へ届き始める。
スープを少量掬い味見して蓋をし、更に煮込む事数分。
「出来た!」
特製――とは言い難いが、それなりに美味いスープが出来上がる。
アネスへ目を向けると、首を縦に何度も行き来させ、穏やかな寝息を立てていた。
起こそうか起こすまいか悩んでいると、アネスの小さな鼻が匂いに反応する。
ヒクヒクと鼻が動いた後、瞼がゆっくりと開いていった。
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