男の旅路に危険はつきもの

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 大きな欠伸をしながら近寄ったアネスは、煮込んでいたスープを見て目が覚めた様で、そそくさと食器を手に持った。  適量をそれに注ぐと、「少ない!」と怒られたため、表面張力の限界まで注ぐ。 スプーンで掬い、息を吹きかけ冷ましながら口へ運ぶと、僅かに口を緩ませ「美味い」と一言。  それにホッとした僕は、自分の分を皿に注ぎ口へ運ぶ。 黙々とスープを食す事数十分。  割と多目に作ったスープは綺麗になくなり、やや物足りぬ様子のアネスは更に干し肉をかじっていた。 ……相変わらずの食欲だ。  苦笑しながらそれを見ていると、僕の視線に気づいたアネスが首を傾げる。 「何でもないよ」と告げ、後片付けを終えた僕は、テントを小さくし仕舞い込んだ。 「おし! じゃあ、行くか!」 「うん。そうだね」  先導してアネスが歩き始め、僕もその後に続き歩く。 目的地のアスウェルまで、一日歩きとおせば着くだろう。 ……楽しみだなぁ。  初めて訪れる大きな街。 それも国の中枢を担う場所だ。  さぞ素晴らしい街に違いないと、僕は内心浮かれていた。 「――あんま期待すんなよ」 「――え? 何か言った?」 「いや、何でもない」  そんなやり取りをしながら歩く事一日。 アスウェルの街門が視界に飛び込んできた。
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