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僕の自己紹介を聞き終えたミッドルは、アネスへ顔を向け「これかい?」と、親指を立てる。
地の底まで到達しそうな深いため息を吐き、アネスは肩を竦める。
「馬鹿か。そんなんじゃねぇ」
「なんだ。つまんね」
心底がっかりしたと言わんばかりに、肩を竦め息を吐き出したミッドルは、突如真面目な表情へ切り替わった。
「で? 今日は何用だ?」
「ああ。実は――」
アネスは依頼の内容を説明し、それを受けたミッドルは「ほう……」と低く唸った。
胸元で腕を組み暫し思案した後、ミッドルは自身の知る情報を口にする。
「噂に聞いた程度だが、湖畔の周辺に現れたケモノは、大概が弐型のケモノだ」
「弐型ねぇ――」
「ああ。アネスっちなら余裕だろ。だけど、その”とある人物”とやらが一癖ありそうだな」
とある人物に心当たりはあるんだろう――と、ミッドルが続けると、アネスは忌々しそうに頷いた。
……話について行けない。
二人はある程度の付き合いがあるのだろう。
ミッドルは意味深に笑いながら、「無理しない様に」と注意した。
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