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『シンジ君、帰ろ』
「うん!」
僕は小学四年生。
ませてるって言われるかも知れないけど、同い年の彼女がいる。
彼女はリカちゃん。
抜けるように白い肌に、どこか寂しげな紅い瞳が印象的な、とっても綺麗な自慢の彼女だ。
僕は彼女が差し出した、ひんやりと冷たい手を握ると、家路に就いた。
辺りは闇が席巻している。
月明かりに、休眠前だろう蛾がハラハラと舞い散っている。
月明かりに浮かぶリカちゃんの横顔はとても綺麗で、思わず立ち止まってしまっていた。
リカちゃんが問い掛けるかのような視線を向けてくる。瞳が月の光を受け、ルビーのように美しく、妖しく光っている。
僕はその瞳に吸い込まれるように、ゆっくりと、彼女の顔に自分の顔を近付けていった……。
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