変態

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ある夜、目覚めると、身体が動かない事に気付いた。 そういえば。 ふと思い出す。 無事、音楽発表会が終わり、担任を避けながらも冬休みに突入した頃、リカちゃんと連絡が取れなくなった。 正月も間近で忙しいのだろうと勝手に思っていた。僕自身も、親の実家に行く話もあったりと、何かとバタバタしていた所為もある。 それに冬休みは短い。この短期間で、何かしら事件が起こる等といった事に、思考は向かわなかったのだ。 僕はどうにかそこから抜け出そうと身を捩ったり、抵抗を試みてみた。しかし、僕の周囲に巡らされた、僕の身動きを封じる粘着力のある物質は、更に僕の動きを鈍くさせるだけだった。 もしかするとリカちゃんも僕と同じように、何者かに動きを封じられているのかも知れない。 勿論それはただの杞憂に過ぎない。いや、杞憂であって欲しい。 そんな事を考えながら、その内に僕は疲れ果てて眠ってしまっていた。
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