一城の姫。

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今日は父の誕生日パーティーが催しされた。 そんな中、目黒楽‐メグロ ガク‐を初めて見た。 明治時代に建てられた洋館は正門から玄関までの脇に庭を作っていた。 楽しく草花を愛でられるようにベンチを1つ置いている。 その1つのベンチに見知らぬ男が座っていた。 屋敷は3階建て。 正門の位置から遠く離れている3階の角部屋が彩姫の城だ。 彩姫は自分の部屋から小さな黒い人を見下ろしていた。 男は彩姫に気づくはずもなく、ただ座っている。 コンコンとドアを叩かれる。 彩姫はバルコニーから部屋に戻り、ドアを開けた。 「ありがとうございます、彩姫様。紅茶とスコーンをお持ちしました」 名前にある通り、姫様扱いを受けている。 神山家の1人娘。 「純。あの男が誰だか判るか?」 ワゴンを押してきたメイドである純は勿論、女性だ。 彩姫が先導し、庭を指差す。 純はワゴンを止め、彩姫の後ろから外を覗き込む。 「どこに…ああ!あの方ですね?……確か、勝様の部下の目黒凌央様のご子息、楽様でございますね。“楽しい”と書くそうですよ」 2人とも、視力はかなり良かった。
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