感じ。

12/15
前へ
/210ページ
次へ
『…………はい………それで何処に?』 行き先がわかる気がしたが、恐る恐る聞いてみる。 『ジャックの所に泊まる』 『っ――――――』 声なき叫び。 『リナ、そんな捕って食われるんじゃないんだから』 エディが苦笑いしつつ、言った。 『それに今からホテル探すのも、巻くのも面倒だ』 『“巻く”……』 エディとリナは後ろを振り返った。 スモークガラスだから、後続車からは2つの顔が向いている事はわからない。 空港からずっと着いてきていた。 初めから知っていたのは兵悟だけ。 車を巻く事は簡単に出来たが、ジャックに迷惑をかけるために後を付けさせていた。 兵悟は機嫌が良かった。 旅館の経営者に言われた言葉に救われ、後押しをしてくれた。 メアリーに会える事も嬉しかった。 母も笑ってくれていると――――。 『どこの車かな?』 『ショーンを狙ってるのよね?』 『“エノク”の事を知りたいんだと思う。謎に包まれてるから』 『……大丈夫なの?兵悟』 『心配するな。手は打つ』 住宅街を抜け、私有地の門―ジャックの所有地―を通り抜けると重そうな鉄柵が閉じ始める。
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加