一城の姫。

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ミルクティーが入ったカップがソーサーに乗せられた。 一口サイズの母特製スコーンが皿に盛られる。 スコーンの中にはミルクチョコやブルーベリージャム、ピーナッツクリームとクリームチーズの四種類が入っている。 「あの方、何か口にされたのでしょうか」 純が楽の方を見て首を傾げた。 「どうしてだ?」 「目黒様は10時頃に来られました。楽様も同じだったと思いますが…勝様にご挨拶が済むと部屋を出ていかれて……」 「そうか…では、純。見繕って持っていってやれ」 純はそう言った彩姫の顔を驚いた顔で見た。 彩姫もそんな純を見る。 「…なんだ?」 「初めて男性に優しい言葉をかけたのを聞きまして驚いた次第です」 思ったままを口にする純を彩姫は見つめた。 「―――…そうか?では、ゲイかもしれんな」 キリリとした顔をして言う。 「彩姫様の結婚相手ですよ?きっと」 彩姫の戯れ言を聞かなかったことにし、笑顔で言ってみた。 「勝様以外は未来の旦那様のみが触れられる……とか?」 「何を」 「運命の相手だったりするかもしれませんよ?」 「そんな」
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