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両親は激怒した後、落ち込んだ。
長男で期待を掛け、厳しくもあったけれど、愛情も同じくらいあったから。
純も哀しかったがまた戻ってくるだろうと思った。
彩姫も自分のせいで出て行ったのではないかと考えもした。
その内、目黒楽が彩姫の瞳に映るようになる。
「楽、どこに行くんだ?」
父が家に居ることは大変珍しい。
「散歩」
楽は長男でありながら、自由気儘に過ごしていた。
文武両道をモットーとする家柄で子供の時から成績優秀で誰にも文句を言わせなずにきたのだ。
「……なに?どこか行くの?」
「――神山さんの奥さんから招待状が来たのだ」
父親が尊敬している人が“神山”だったと記憶する。
「そうなんだ?気を付けて行ってらっしゃい」
父親が話ベタなのも、招待を受けただけの内容を息子に話すわけがないのも、楽はわかっている。
「いや、そうではなく…」
父親が無理強いをする人間でもない。
ただ“神山家”に、弱いのだと思う。
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