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僕は目を覚まさなければならない。
覚まさなければ、といっても目に見えているものは、彼女、友達、学校、時、日常的風景しかない。
「あの子はこの世界の軸」
風に乗って聞こえてくる声に耳を傾ける。
「そうか、××が…軸だったんだね」
僕は悲しげに微笑んだ。
「うん、でも私は……ずっとあなたのことが好きだよ
これが、私からの最期のお願い」
ふわりと彼女の長い髪が揺れる。
互いの唇が離れた瞬間、僕は彼女を押した。
思い出を語る涙の粒が僕を通り越して行く。
さようなら、僕の 世界。
―――――
目が覚めると白い天井が目に入った。
重い身体を起こして顔に手を当てる。
「ははっ…情けな」
僕は顔に流れ続けている雫を拭う。
―ずっと大好き
その声が頭に焼き付いていた。
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