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「ねぇ、そこの君、何してるの?」
不意に聞こえた声にビクッと肩を震わせる少年。
「…見れば分かるだろ」
「うーん…私が見るに
『フェンスを飛び越えた先から』
グラウンドを羨ましく見ているってことしか分からないなぁ」
「…………」
沈黙が通り過ぎる。
「飛び降りるんでしょ?早く飛び降りたら?」
「人がいるまえで飛び降…ッ」
少年が言葉を言い切る前に
宙を舞った。
――――――
少年が宙を舞うほんの少し前、声を掛けた人物が少年を押した。
「ッ…」
「そんな顔するんだったら、まだ飛び降りるのは早いよ。
第一、世の中そんな嫌なことだらけじゃないし」
「…………」
少年は、隣で微笑んでいる人物を背に蒼空を見上げた。
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