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あー、めっちゃガン見してる。
スッゴい見られてる。
「…戒、お前の所為だ」
「えぇー!和だって言ったじゃん~!」
腕をより一層強く抱き締められ、周りからみたらイチャイチャしているように見えるだろう。
「…俺の所為と言いたいと?」
「え?いや…そうじゃなくて…!」
腕に絡み付く戒の手を片方握り解くと、空いた腕で腰をグイッと引き寄せる。
そして顔を至近距離まで近付けた。
「ち、近いって…」
「そうか?」
戒は軽く頬を染めて視線を合わせない様に瞳を動かす。
心なしか瞳は潤んでいる様にも見える。
「みんなが見てるよっ…」
「見られるのが好きなんだろ?」
「そんな事っ…無い…」
周りをチラッと見ると、凝視していた。
まぁ、当たり前の反応だろう。
入学式当日にこんな事する新入生は居ないからな。
だが、こうしなければいけないんだ。
アレだ。所謂…虫除け。
「…っと、今は此処までだ。
入学式に遅れるだろ?
続きは…後でな。」
フッと笑うと戒もまた腕にくっ付いて来て、静かに歩き始めた。
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