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「真、」
「ん?あ、」
いつも通りの朝。
天気は快晴。
真っ白な綿あめみたいな雲が浮かんでいた。
空を見上げていた佐藤 真は名前を呼ばれて振り向いた。
「空、蒼。おはよ。」
小原 空
中島 蒼
真の幼なじみである。
「また空みてボケッとしてたのか?」
「ボケッととはなんだよ、いいじゃん、癖なんだから。」
空は真といがみ合う。
「端から見ると、マヌケ面だぜ?」
「うっさい、ワースト。」
そう言って真は蒼を盾にするようにして、身を固めた。
ワースト
単に三人の中で一番頭が悪い奴をさす言葉。
学校で考査や模試がある度にそのワーストは三人の中で入れ替わる。
「真、」
「ん?」
「髪、長くなったね。」
蒼は真の頭を撫でながら、目を細めて言った。
「まぁね、」
ニカッと笑ってみせる真。
最近延ばし始めた髪。
やっと肩に毛先が着くようになった。
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