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ロケットランチャーの弾丸から生じた爆炎が変態を呑み込んだのを確認すると私は大きく息を吐いた。
勿論何も知らない相手を消し飛ばしたのは少々良心が痛んだ
だけど、これから襲われはずだった子達を救ったと考えるならこの程度は全く痛く……無い
「私は良いことをした。良いことをしたんだ。悪いことはなにもしていない。」
自分に言い聞かせるように呟く
その場から去るため爆炎が立ち込める広場に背を向けて歩き出す
「……感情をコントロールできないのがお前の欠点だな」
「っ!」
いきなり聞こえた男性の声に身を強張らせる
その声の主は少女にとって今、もっとも会いたく無い人間であった
「全く何を考えてんだ?いきなりロケットランチャーをぶっぱなすなんて」
いつもの説教だ
「何が『私なら来たばかりの奴でもしっかりと説き伏せる事が出来る』だよ。まともに話も聞かないで即射殺ってなかなか無いぞ?」
しかも嫌味たっぷりだった
「うるさいうるさいうるさい!私は、これがもっとも正しいと思ったの!あんな奴すぐに殺されて終わりに決まってるわ!」
少女の言葉に対し男の声は無言になる。
そして、少しの静寂が場を満たす。
「それはお前が決める事じゃないな。コイツが自分で選択することだ」
その言葉が少女の鼓膜に届いた瞬間にそれは現れた
まるで銀色のカーテンのような空間の揺らぎが爆炎の中現れた
そして、揺らぎの向こう側から一人。
よく見るとを掴まれたまま引きずられる形でもう一人いる
「……ご自慢の説教は終わった?なら帰りたいんだけど士(ツカサ)」
少女はこの世界の主であり、『元世界の破壊者』でもある人物に怒気をはらんだ声で問いかけた
「駄目に決まってるだろ、悠奈(ユウナ)」
少女…悠奈は士の言葉に諦めにも似たため息をするのだった
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