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その夜。
ロアの寝室をクロアが訪ねると
「クロアッ!!」
起きたまま寝台の上で大人しく
クロアを待っていたロアが
笑顔で出迎え、
寝台に近付いたクロアに
抱き付いてくる。
「眠れないのか?」
「うん。今日は楽しかった。」
華奢な体を抱き締め、
眠れない理由を問い掛けると、
早い時間だからだけではなく
興奮して眠れない事を告げ
ロアは頷く。
「大兄君と小兄君は、また来てくれるかな?」
寝台の上で
クロアの腕に抱かれ
膝の上に座り、
今日一日の事を思い出し
楽しそうに語るロア。
「もちろん。また、来ると言っていた。」
「そうかッ!!」
クロアの言葉に
無邪気な笑顔になり、
小さな声を溢して喜び、
ふと、
ロアはクロアを見詰め直す。
そして、
「今日はありがとう。」
唐突に告げる感謝の言葉。
「どうした?」
何を感謝されているのか、
戸惑うクロアに、
「大兄君のとき“手を繋いでくれた”。」
昼間の事を指摘し―浮かぶ。
幸せに満ち足りた満面の微笑み。
「すごく勇気が出て……たくさん嬉しかったッ!!」
心から溢れる言葉で伝える、
真っ直ぐな感謝の気持ち。
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