†巡†

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  「えーと…あのね…。」 「はい!!」 華が似合うと言われてしまい、 どう反応すべきか戸惑う少年。 「えっ…と…。」 「ちいあにうえもいってました!!」 「……………………。」 にこにこと 無垢な顔で話しながら 少年の銀月の髪に 手にしている白い華を 幼子は飾る。 「小兄君が“私には華が似合う”って言ったの?」 「いいました!」 髪に白い華飾りを着けられた 少年の笑顔の問い掛けに、 素直に答える幼子。 「そっかー。」 「はい!」 少年の笑顔の意味など分からず 笑い合う二人。 すると、 「そこに居たのか。」 「ちいあにうえ!!」 「…………………。」 二人の元へ歩いて来た、 下の兄“小兄君”こと 従兄のディフェル。 「どうした?」 少年の腕の中の幼子の 頭を撫でながら、 胡乱気な眼差しで ディフェルを見上げる少年に 現状を知らないディフェルが 声を掛けると、 「大事な“弟”に変な事を教えないで下さいッ!!」 幼子―弟、セキル―を ディフェルから護るように 遠ざけ怒る少年―ロア―の声が 澄み渡る空の下、        響き渡った。  
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