†巡†

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  仄暗い室内。 「え…?」 唐突な目覚めと同時に零れる、 呆然とした呟き。 「えっ…と…。」 「ロア?」 目覚めの気配を感じ、 クロアが横たわったまま 僅かに身を起こし 腕の中のロアを除き込むと、 ロアは戸惑いの表情を浮かべ、 「あ……うん………。」 一応は頷き返す。 自分に何が起きたのか 分からないロアの様子に、 「何か思い出したのか?」 クロアが ゆっくりと慎重に問い掛けると、 「……ちぃ……兄君と…………。」 暫し沈黙の後、 「えっと………白いはな……?」 先ほど視たばかりの夢を 思い出しながら説明する。 「ディフェル様と白いはな?」 「うん、小兄君に遊ばれる夢。」 クロアの確認に躊躇いなく頷き、 応えるロア。 一見すると ディフェルの訪問が切っ掛けで 思い出したような夢の記憶。 戸惑うロアの様子も 突然、記憶を取り戻した動揺と 考えれば納得の行くもの。  
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