†巡†

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  記憶の修正が判明した日から 三日後の午後。 まだ、昼を過ぎたばかりの 明るく暖かな時間。 室内よりも 外に居る事を好むロアは 思い出を語りながら楽しそうに クロアと中庭を散策していた。 白薔薇、薄紅の薔薇、白菫、 霞草、待雪草…、 淡い彩りの 美しい華々が咲き乱れ、 色鮮やかな緑樹、緑地と 見事な調和を生み出し、 蔓薔薇が風に揺れる ガーデンアーチ。 水音、和やかな噴水。 木陰に包まれた東屋などがある、 広い中庭。 「あの花の側で大兄君とたくさん、勉強をして…。」 陽当たりの良い花の垣根を示し 笑顔で語り、 「あの樹に登った時におりれなくなって、小兄君に怒られて…。」 緑豊かな樹を示し、 不服そうに語る。 大人しい印象に反して かなり活発な幼少期を 送っていたらしいロアの思い出。 「活発だったんだな。」 思い出話を聞いて、 優しく零れるクロアの感想。 思えば、 両足の事があるために 激しく動き回る事は 出来なかったが、 外で読書をする事や 中庭の散策が ロアは好きだった。  
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