†巡†

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  「クロアと初めて会ったのも、かくれてた木からおりた時だ。」 傍らのクロアを見上げて 嬉し気に告げるロア。 表向きの出会いは ロアが16の成人を迎えた後、 クロアが “次期聖主側近”と 成ってからであったが、 本当の出逢いは、 それよりも二年前の、 ロアが14の頃。 聖域から出される事なく、 育てられていたロアが たった1日、一度だけ 父、聖主により 聖域から連れ出された時。 第6階層の神殿で わざと神兵に追われる事で 遊んでいたロア。 途中、神兵たちから逃げる為に 神殿の庭園の樹の上に隠れ、 遣り過ごし、 地に降り立ったところを、 離れた場所から 偶然、クロアが目撃した。 間近で対面する事もなく、 ただ、遠くから 互いの姿を見ただけで、 言葉すら交わさずに 終わった出逢い。 互いに名前すら知らず、 クロアがロアの姿だけを 聞き知っていた邂逅。  
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