†巡†

41/41
223人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
  事前の報せも何も無い セキルの訪問。 だが、 「お元気に成られた御様子で、安心しました。」 「――ッ―あ…。」 聖主と共に ロアの目の前まで近付き、 穏やかな笑顔で 挨拶をするセキルと 震えた声しか出せないロア。 「セキル様。」 その間に入る、 「お心遣いの言葉、有り難う御座います。」 クロアの落ち着き払った声。 蒼褪め、 立ち尽くしてしまっている ロアを背後に庇い、 代わって挨拶を返すクロア。 まるで セキルの訪問を 事前に分かっていたような クロアの態度は、 「熾天使長様へお願いした言葉は、正しく届いていたみたいだな。」 微かな苦笑を浮かべるセキル。 「御蔭様で、確かに承りました。」 穏やかながら冷たい印象を宿す クロアの微笑。 3日前に ディフェルから伝えられた セキルの伝言で、 近い内の訪問を 予期していたモノだった。  
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!