†兆†

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  聖界に於て、 聖主の直系の名が 記録から消される たった一つの理由。 「だが…そうであれば尚更、セキルが次期を捲き込むとは思えん。」 低く重く零れる ディフェルの否定。 「しかし、それならあの子が“記憶を喪う程、追い詰められてもおかしくない”」 認めたくはない レティスの肯定。 二人の間に落ちる、      暗く、重い沈黙。 「あの子には………“クロア”が居る。」 ぽつりと告げる、 唯一の希望。 近親者での関係が “大罪”とされる聖界。 もしも、 セキルのロアに対する 執着の答えがそうであれば なんとしてでも 回避させなくてはならない 現実に ただ、重い沈黙だけが 暗く落ちていた。  
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