†兆†

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  「もう、大丈夫だ。」 酸欠で力が上手く入らないにも 関わらず 必死に縋る体を強く抱き寄せ これまで夢に魘された中で、 一番、怯え震えている ロアの様子が落ち着くまで、 声を掛け続けるクロア。 「……ご………めん……。」 「謝らなくて良い。」 落ち着き始めると ロアから上がる震えた謝罪の声。 「でも………。」 「ロア、明るい話をしようか?」 クロアが何と言っても零れる ロアの罪悪感に 少しでも気持ちを切り替え、 気を紛らわせ、 心を軽くする為のクロアの提案。 「明るい……話…?」 「そうだ。」 戸惑いがちに問い掛けるロアに クロアは優しく応じ、 「昔、俺はお前に噴水に落とされた。」 「え?」 クロアが語り出す 二人の思い出。 「お前の癖は俺の胸倉を掴む事。」 「だっ…それはクロアの背がッ。」 クロアが知っている 日頃からのロアの癖。 「中庭の蔓薔薇によく髪を絡めて立ち往生するだろう。」 「それは私のせいではない。」 「お前の全てが大切だ。」 「―ッ、き…きゅう、に…なに…?」 話の途中での “唐突な告白”  
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