†兆†

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  間にクロアが入るにも、 兄弟の対話である限り 下手に手出しが出来ず、 ロアの傍らで見守るしかない 二人のやり取り。 「では、聖本殿にしましょう。」 聖殿の正面、出入りの門もある “聖本殿” そこへ行き先を決めると、 おもむろにロアへ 片手を差し出すセキル。 「え…?」 「手を繋ぐくらいはして下さい。」 セキルから差し出された手に 一瞬、 何の事だか分からず 躊躇うロアに 穏やかにセキルが告げると、 ロアは困惑し 思わずクロアを見詰め、 躊躇した末に 恐る恐るセキルの手を取った。 セキルはロアの手を 優しくと握ると、 「行きましょう。」 「………うん…。」 ロアを促し、 聖本殿へと向かい始め、 クロアは、 ロアの後ろ着いて行き、 敢えて、 ロアと手を繋いだ セキルの意図を考えながら、 警戒を強めていた。  
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