†兆†

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  その夜。 就寝前の時間。 ロアは自分の寝室の扉の前で、 「今日は…一緒に寝なくて良い…。」 昨夜まで 共にしていた就寝の断りを クロアに告げていた。 「ロア…。」 明らかに セキルの意図が含まれている ロアの断り。 深く俯く事で表情を隠し、 努めて明るい声を出し、 平然とした態度を なんとか見せようとするロアに 追求の言葉が出せないクロア。 何より、 クロアがロアの側近である限り、 主であるロアの決定を 翻す事は出来なかった。 しかし、 だからと言って、 恋人として このままロアを一人に出来ない クロアは、 「ロア。」 「え!?…何?」 ロアの腕を掴むと、 ロアの寝室近くに構えている 自分の部屋に向かい、 室内に引き入れ、 「クロア、怒ったの…か…ッ!?」 クロアの突然の行動に 不安気なロアを        イダ 胸に強く、掻き抱いた。  
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