†兆†

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  「ほん…と、は…クロアと居たい…!!…ずっと…一緒に居たいッ!!」 切なく溢れるロアの心。 クロアの傍に…、 クロアと共に…、 離れたくないのだと叫ぶ願い。 それを、クロアは宣言通りに、 何も言わず、 ロアの心を聞き続け、 「弱くて……ごめんなさい…。」 「―――――ッ。」 最後の謝罪を否定する言葉も 全て、呑み込む。 そして、 ロアがクロアの腕から 離れる寸前、 「その……えっと……ク…クロア…。」 クロアから眼を逸らして、 「き、昨日の夜…してくれた…く、口付けッ…して、もらえたら……こ、恐くても…大丈夫だから…。」 耳を紅く染めながら、 必死に告げるロア。 常に様々な優しさで 心を支えてくれるクロアに 応える為に頼ろうと 甘える事に慣れない様子で 伝えるロアの仕草に クロアは微かに微笑み、 「ロア…。」 甘い声でロアの名を 大切に囁くと、 「ッ…ん…。」 一人にしない願いを込めて 優しく口付けた。  
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