†兆†

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  ロアがクロアのところから 自分の寝室に帰ると、 「遅かったですね。」 室内ではセキルが寝台に座り、 ロアの帰室を待っていた。 「………ごめん…。」 クロアとではなく セキルと共に就寝する事に なっていたロア。 無論、 それはロアが望んだ事ではなく セキルがロアへ強制した事。 「クロアと何かありました?」 セキルの傍までロアが近付くと 鋭い指摘が掛かり、 「えッ…あ…その…。」 ロアは 午前中の一件を思い出し、 言葉が詰まってしまう。 「恋人同士なのですから、何があっても仕方がないですよね?」 ロアとクロアの関係を 進んで口にする事で、 ロアの言い訳を 完全に塞いでしまうセキル。 何も言えず、 俯いてしまうロアの手を取り 「私の事をちゃんと思い出して下されば、構いませんよ。」 「……………………。」 切に願うように 柔らかな口調と微笑みで クロアとの事を優しく責め、 「休みましょうか、兄上。」 「…うん…。」 寝台の上へとロアを促し、 共に横たわると抱き寄せる。  
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