†兆†

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  「早く、養子に出れないかなぁ。」 「セキル?」 予定では10歳に成る来年に 叔父の元へ養子になる事が 決まっているセキル。 ポツリと 早急に養子になる事を望む 呟きを溢したセキルは、 「早く養子に出れば、早く“熾天使長”になる為の勉強ができて、兄上の力になれますッ!!」 自分よりも先に 成人してしまった兄、 ロアを誇らしげに見詰め、 先の未来の希望を 輝きに満ちた笑顔で宣言する。 「――になられた兄上をぼく……私が支えますッ!!」 将来は二人の父の後を継ぐ ロアを助けたいと願うセキル。 まだまだ幼い…、 何も知らない弟の 無邪気で無垢な願いの言葉に 未来を知ってしまった兄は、 「うん、期待している。」 『お前は私が―護るから―。』       イノリ 言葉にしない願いを胸に 優しく笑って頷いた。  
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