†兆†

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  「兄上ッ!!」 「ロアッ!!」 セキルと 離れた位置に居た筈の クロアの声に はっとするロア。 いつの間にか 地に座り込んでいるロアを クロアとセキルが両側から支え 真剣に見詰めていた。 「どうした!?」 鋭く訊ねるクロアの声。 「どこか怪我はありませんか!?」 緊張した面持ちのセキルの問い。 ロアは そのどちらにも応えられず、 ただ茫然と、 たった今、視た、 白昼夢の相手を思い出す。 それは…、 ロアが最初に視た 記憶の夢に出てきた相手。 ロアを違う名前…、 [“リデア”] と、呼んだ、 知らない筈の “懐かしい面影の主”だった。  
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