†重†

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   ―何もない世界だった。― 時折、 何が与えられるだけの世界。 意識も自我も意志も無く、 在るがまま、 何かを与えられるがまま 生きているのではなく、 そこに有るだけだった。 そんな世界に、 いつしか、何が生まれた。 ―“このような処に…一人で有ったとは…。”― それは、           コエ 透明で優しい響きの“音” ただ、白く、     淡い光に満ちた            ココロ “無音の世界に生まれた始め” ―“外へ出てはみらぬか?”― 穏やかな問い掛け、 長い聖銀の髪に紫水晶の瞳の主。 その髪と瞳が 初めて眼にした色彩だった。  
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