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「たまには、父上と二人だけ過ごしてみてはいかがですか?」
「セキル?」
早朝、朝の支度も終わった時刻。
ロアの居室内で
その日、1日の過ごし方を
考えている中で、
突然、
セキルから切り出された提案。
「最近、あまり眠れていらっしゃらないようですし、父上と二人きりになられる事で思い出せる記憶があるかも知れませんよ?」
唐突な内容に戸惑うロアへ
説明する言葉。
中庭の蔓薔薇の場所で
倒れかけた日から数日、
何故か行き詰まり始めた
ロアの記憶の夢。
その主な原因は
ロア自身が眠る事を
拒否し始めているからだったが、
「だが…。」
「クロアにも“役職”と云うモノが有ることはお分かりでしょう?」
セキルの提案に
意見を返そうとするロアを
クロアを引き合いに出し
セキルは先手を打つ。
自分の役職や
地位、立場については
未だに思い出せず
理解できないでいるロア。
しかし、
クロアの“聖司補佐官”と云う
役職は理解できており、
セキルの指摘に今更ながら
戸惑いを浮かべる。
「セキル様、自分はレティス様とフィリル殿のご協力もあり、問題は…。」
「二人しかいない聖司補佐官の片方が、長期不在は充分に問題だと思うが?」
恋人、以前に側近として、
ロアを一人には
出来ないクロアの反論を
正論で返すセキル。
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