†重†

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  それでも、 簡単には離れられないクロアは 「ロア、これを…。」 「???」 ロアをセキルと共に 聖主の元、 “聖務室”へと送り届け、 別れる寸前にロアの右手を取り 自分が常に身に付けている 封具の指輪を右手の薬指に そっと填める。 「クロア…?」 「俺が居ない間、これがお前の支えになれば良いが…。」 クロアの行動の意味が 分からないロアへ、 告げる―せめてもの願い。 常に帯刀している 神剣以外の武具を 封じ入れている、 銀製のクロア個人の紋章が 刻まれただけのシンプルな指輪。 細く繊細なロアの指には 少しだけ無骨にも見えるそれを ロアは愛おしむ目差しで見詰め、 右手を指輪ごと胸に大切に抱き 「ありがとう。」 漸く浮かんだ心からの笑顔で クロアを見送った。  
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