†重†

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  ――中央組織、熾天使長執務室。 ディフェルは セキルが登庁して来ると早々に 山積みに近い書類を示し、 「それを出来るだけ今日中に纏めて、提出しろ。」 実に簡素に指示を出す。 3機関の中で最も部署の多い 中央組織。 その為に、 業務の量は 多忙なモノであったが、 「………よく…ここまで溜めましたね…。」 熾天使長補佐の任に慣れた セキルでさえも 軽く頭を抱えてしまう量に ぽそりと溢れる、素直な感想。 「文句があるなら、更に増やすぞ。」 告げると同時に 本当に書類の束を一つ追加する ディフェル。 だが、 無造作に追加された その書類を見たセキルは、 何故か怪訝な表情を浮かべ、 「熾天使長様。」 何事もなく 業務を再開させている ディフェルを呼ぶ。 「これは…。」 「お前の婚約者候補の書類だ。」 「………………………。」 普段の口調で 何の脈絡もなく 唐突に告げられた応えに 一瞬、言葉を失うセキル。  
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