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―何も知らない世界だった。―
そこに
与えられて行く“知識”
“生命の間”と呼ばれる
地下の部屋。
―“セフィロトとは‘生命の樹’の事よ。”―
―“せいめいのき?”―
淡く暖かな光を宿す
白き虹色の水晶で造られた
その部屋で、
交わされる会話。
―“生命を司り、命を生み出すモノの事。”―
―“いのち”―
一つの事柄を教えられる度に
言葉を繰り返し、
知識として記憶して行く。
―“命とはこの世の全てに宿るモノ。”―
―“すべて?”―
命を生み出し、万物を司る
“生命の樹”
“セフィロト”と
呼ばれるモノの説明。
―“そう、全て…形あるモノ、形なきモノ、見えるモノ、見えぬモノ…この世と云うモノ全てが‘命’を宿し、セフィロトにより造られておる。―
―“いのち、つくる、せふぃろと”―
―“其が、お前の宿す力の事。”―
万物を創造し造り出す為の力。
一つの世界を
滅ぼす事も
造り変える事も
新に産み出す事も出来る
正に万能のモノ。
故に
自身では使えず、
他者の意志により
利用されなくてはならない存在。
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