†重†

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  「ロア…。」 聖主はロアを正面から見詰め、 何かの覚悟を決めた面持ちで 「…心して聞きなさい。」 「父上…?」 唐突に 真剣な眼差しと口調で 言葉を切り出す。 「神族には重要な警告を告げる言葉がある。」 一体、何を伝えられるのか 緊張するロアへ、 重い声色で 重要な話しを告げる聖主。 それは、 「聖銀もしくは、銀月の髪に白月のような瞳を持つ神族が産まれると、この聖界に必ず、魔王自らが進現する。」 魔王進現の言葉。 “聖界”とは対極に位置し、 対立する存在である“魔界” 其処を統べる者である“魔王” 「聖…銀もしくは…銀月の…髪……白月の瞳…。」 聖主に告げられた言葉に 息を呑み瞠目し、 愕然と零れるロアの呟き。 無意識に見下ろす、 長い自分の髪。 さらりと音の立つような 美しい銀月の髪。 今更ながらに 確認しなくても知っている、 自分の白月の瞳。 「これは、一時的な眠りに着いた魔王が、再び、目覚めた事を報せる神族への警告。」 信じたくない話の内容に 衝撃を受け、 硬直してしまったロアに構わず 説明を続ける聖主。  
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