†重†

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  第6階層の神殿で 聖司補佐官の任に 従事する事となった クロアの代わりに 急遽、ロアの警護を任された フィリルは、 『クロアが神殿に来てくれて、正直…助かったけど…。』 聖域、聖殿の聖務室から 聖主と共に居なくなっていた ロアを探しながら、 現在の神殿の状況と クロアの事を考えていた。 ――――― 他の官達の所を周り、 幾つかの書類を纏めて戻った 聖司官執務室内で クロアと鉢合わせたフィリル。 「あ…れ…?クロア、お前…。」 聖域でロアの傍に居るとばかり、 思っていただけに 思わず驚いてしまうと、 「ロア様から、聖司補佐の任に就くようにとの命がありましたので…。」 神殿に来ている理由を 説明するクロア。 クロアがロアの元を 離れる事があるならば、 それは当然、 ロアのため以外には 有り得ない事。 しかし、 今、聖司官としての 記憶が無い状態のロアを 考えれば、 言葉に出されずとも、 セキルが何らかの形で 関わっていると分かった。 その為に、 「あー、そっか…。」 クロアが神殿に 登庁して来た事を 素直に喜べないフィリル。 だが、 今の神殿の不安定な状況を ロアの直属の部下として 周囲に認められていても、 一人では回避しきれないと 理解しているだけに、 クロアの登庁を 内心で安堵している自分が フィリルの中に居た。  
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