†重†

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  『情けないよなぁ…。』 あの後、フィリルと入れ違いに クロアが聖司官執務室を 出て行くと、 レティスに クロアの代わりに ロアの警護を頼まれたフィリル。 本来ならば、 誰よりも ロアの傍に居る事を 望んでいるクロアを 頼らなくてはならない現実に 零れてしまう内心の呟き。 「せめて…出来る事をしないとね…。」 頼らなくてはならないのなら、 自分に出来る事だけは やり遂げると決め、 それが クロアに代わり ロアを警護する事ならば、 どれほど頼りなくとも 護ると決めているのだが…。 「…聖殿って…本当に広いよねぇ…。」 立ち止まってしまった 聖殿の長く広い廊下を見回し、 あまりに、広大な聖殿内。 しかも、 侵入者に対しての策として、 各塔を繋ぐ廻廊と 聖塔内は同じ内装を延々と使い、 下手をすれば方向感覚が狂う 造りとなっている場で、 「ロア様は……。」 先ずは、 傍に居るべき対象である、 『どこに居るんですかッ!?』 ロアを見つけ出すのが 先のフィリルだった。  
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