†重†

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  そうして、 漸く、聖殿内で “ロアを見付けた。”と 言うよりも、 “ロアに見付けられた”と 言う状態で、 無事にロアと聖主に 出会う事ができたフィリル。 「フィリル?…どうした。」 第1棟から聖棟へ続く廻廊で フィリルの姿を見付け、 驚くロア。 「ロア様ッ!!…ここにいらっしゃったんですね…良かった…。」 ロアが知る限り、 普段よりも早く、 神殿から聖殿へ帰って来ている フィリルに驚いているロアへ 零れる安堵。 「父上と様々な場所を回っていた。」 ロアを探していたらしい一言に 微かな苦笑を浮かべ、 聖務室に居なかった理由を 説明し、 「フィリルこそ、随分と早い退庁だが…どうした?」 言葉の途中で 何かあったのではないかと 思い至った様子で フィリルを不安気に見詰め、 神殿から早く帰って来た理由を 訊ねる。 「あぁ…、いえ、ただのクロアの代理です。」 「“代理…?”」 クロアとの主従関係を 思い出せていないロアは フィリルが何の代理であるのか 分からず小首を傾げ、 問い掛けの眼差しで見詰めるが、 「クロアは心配性なので…。」 何とか交わすフィリルの一言。  
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