†重†

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  「………そうか。」 『良かった。』 まるで言葉の真意を問うように 暫く、フィリルを無言で見詰め、 納得するロアに 安堵するフィリルだったが 「あれ…ロア様、それ…。」 「なんだ?」 ロアの右手の指輪と、 髪の間から見えた 左耳のイヤカフに気付いた瞬間、 止まる思考。 何故なら、 もしも、右手の指輪が クロアからのモノならば、 一生を添い遂げる誓いの証しに 恋人へ自分の紋章を刻んだ 装飾品を贈る習わしのある聖界。 更に、 左耳のイヤカフは 紋章を刻んだ装飾品を 贈った相手との関係を 正式に認める証として、 親が我が子に 子供当人の紋章を刻み贈り 身に付けさせる公認の証。 正式な婚約を交わす 一つ手前のそれに…、 「その…指輪って…クロアからの…ですか…?」 「そうだが?」 確認してしまうフィリルと、 何も知らない様子で応えるロア。 「えーと…イヤカフ…ッ!!」 そのまま、 イヤカフの事を訊ねかけ、 ヒヤリと身を凍らせる視線に フィリルは思わず、 言葉を詰まらせる。  
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