†重†

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  「…………………。」 「…………………。」 それまで 二人のやり取りを 見ていただけの 聖主からの無言の圧力。 「フィリル?」 「あッ!!い…いえ…。」 恋愛の事情に関しては 記憶があった時から 関心が薄く、反応ができない ロアからの問い掛け。 「どうした?」 「な…何でも……ありません。」 おそらくは イヤカフを贈ったのであろう ロアの父、聖主からの圧力に フィリルが 対抗できる筈もなく、 『いや…うん……あれだ…ロア様って…。』 紋章の刻まれた装飾品を 贈る意味を 知らない筈がないクロアと それらを含め 二人を認めながらも 何も教えようとしない聖主。 自覚する事さえ 与えられない状態で “父”と“恋人”の間に 立たされているロアの 将来を考え、 『本ッッとに!!…大変だなぁ…。』 しみじみと 内心で呟くしかできない フィリルだった。  
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