†重†

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  ―――神殿。 半日をかけ、 神殿内の会議と 各高官達の元を廻ったクロアは、 その際に受けた案件の相談や 要望書等を手に 聖司官執務室に戻りながら、 複数の高官達に問われた言葉を 思い出していた。 ―“聖司様の御容態は如何なのでしょうか?”― 大会議の直後に 大議院内にて倒れたロア。 場が場であった為に、 神殿の高官達だけではなく、 中央組織、元老院の 下位の官達にまで、 広がっている、 “次期聖主、ロア”の不在。 これが原因の明らかな不在、 又は 短期間の体調不良による 療養ならば、 誰も復帰を危ぶむ事もなく、 ロア自身が事前に用意した 指示書、意見書に 聖域からの指示があった為に 神殿内でもロアの 聖司官としての復帰を 心配する声は出なかったが 今回は長期間の療養に加え、 何の指示も無い状況に 高官達の間で上がり始めている ロアの聖司官復帰を危ぶむ声。 ロアの容態を心配している事は 確かだったが、 声や言葉、態度に滲む 不安、不審の感情の方が 何よりも強かった言葉。  
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