†重†

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  「聖司補佐の仕事は大変なのだろう?」 ぽつりと俯き、 クロアの帰宅が遅い理由を 探し求めるように 訊ねるロア。 「えッ!?あぁ…はい。大変な時もあります。」 一瞬、上官であるロアの “聖司官”としての業務を 思い出してしまい 言葉が詰まってしまう フィリル。 「そうか。」 「はい。クロアは特に真面目な分、引き受ける仕事の量が多いですから…。」 『ロア様はその何倍も、お仕事されていますけど…。』 フィリルの応えに ほんの少し安心した様子で ロアはクロアの帰宅が遅い事を 納得し同時に、 「うん…クロアは凄く真面目な奴だ。」 フィリルが指摘した クロアの性格に同意し、 深く俯いてしまう。 その瞬間、 二人の間に流れ込む沈黙。 フィリルにも伝わってしまう “ロアの羞恥” 明らかに 恋人を褒められた一言に、 喜んでしまう想いを 必死に押し隠そうとする ロアの姿に、 『うっ…わぁ……。こ、これ…は…、み、見なかった事にしよう。』 フィリルも 動揺してしまう感情を抑え込み、 ロアから顔を背け、 内心で呟き誓う。  
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