†重†

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  ロアを抱き寄せる時に 頭に添えられたクロアの手が 何かに触れ、気付いたそれ。 フィリルがこの場に居なければ、 口付けている衝動を必死に抑え、         -ロア- カラダ 大切に抱き上げる最愛の存在。 「俺、先に行ってるよー。」 「ありがとうございます。」 二人に気を使い、 先に聖本殿を出るフィリルに 自重の苦笑を浮かべ 応えるクロア。 ―聖本殿― 聖なる領域の       聖なる神殿。 二人切りとなる恋人同士。 本来は 天族との婚姻が認められない、 “次期聖主”のロアと “天族”次期聖主側近のクロア。 だけれども、 今だけは…、 コツリ―と 口付けの代わりに ロアの額に自分の額を重ねる。 「“愛してる。”」 今は、 ロアの起きている時には 言えない“愛の言葉” 「“愛している。”」 きっと、 今だけしか交わせない、 “誓いの言葉。” 聖域の夜の帳に覆われた 聖本殿。         スガタ 叶えられない愛の光景が 夢幻のようにそこにはあった。  
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