†重†

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  思い出してしまえば、 どうなってしまうのか。 本当に逃れられるのかも 考えられず、 ただ、 思い出せば聖域、聖殿から 出られると信じ、 記憶を取り戻そうと、 必死に抗いの気持ちを抑え これまで努力していた。 その筈が 突然、 出来なくなってしまった。 ―“父上は…。”― ふっと過る、 昼間、共に過ごした時に 聖務室で問われた言葉。 短い時間ではあったが 眠りやすい状況を整えた事で 深い眠りに落ち、 聖主に起こされるまで 目覚めなかったロア。 酷く魘され目覚めた直後は、 夢で視たであろう記憶と現実を 僅かに混濁させ混乱していたが 徐々に落ち着き、 夢の記憶と今の現実を 区別できた後に交わした会話。 ロアが、 夢の内容を語らない代わりに 聖主に問い掛けた質問。 ―“聖銀の髪に紫水晶の瞳を持つ者を御存じですか?”― 夢に関わりの深い者を 訊ねた一言。 問われた時には はっきりと否定した聖主。  
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